つわり
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背景・疫学
主に妊娠初期に起こる吐き気と嘔吐のこと。
つわりは母体に対し、筋肉・神経系統を挙上させる(体内に胎児のための領域・スペースを作る)働きがあるため、嘔吐感を無理に我慢する必要はない。
通常は胎盤が完成する妊娠3、4か月から5か月頃にかけて自然に治まることが多いが個人差があり、稀に出産直前まで続いたり、一旦治まった後にぶり返す場合もある。
以前は妊娠高血圧症候群に分類されていたが、現在では直接的に生死にかかわる症状とは考えられていない。しかしながら、重症化するとまったく飲食が出来ず衰弱し、昏睡に至ることもある。脱水症状が進み、尿からケトン体が検出されるほど重症化した場合には、ウェルニッケ脳症の発症を予防するために、輸液やビタミン剤補給などによる入院治療が必要となる。治療が必要になった場合は妊娠悪阻といわれる。
原因
妊娠したことによりホルモンバランスが変化し、その変化に母体が適応しきれない状態のために起こるとされる。エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が第4脳室底(脳幹と小脳に挟まれた空間)にある嘔吐中枢を刺激することで発症すると考えられる。プロゲステロンの増加により体内にガスがたまりやすくなり、吐き気、不快感、嘔吐の原因となる。この他に、ビタミン不足からくる代謝障害、血糖の変動、精神的な影響などといったことも原因として考えられる。
一般的治療法
軽症であれば、適度な運動などを行う。
治療は水分補給とカロリーの確保が原則である。口から物を食べられる場合には、スポーツドリンクやカロリー補助食品を用いることもある。無理をせず、食事を少量に分けて食べたり、食べられるものを食べたりすることが大切。栄養が気になるときは、葉酸などのサプリメントを活用しても良い。
口からものが食べられないほどの場合には、電解質液や糖分の点滴を行う。全身状態が不良の場合、入院し点滴により水分や栄養の補給を行う。食べ物が食べられないなどで摂取カロリーが不十分な場合にはカロリー消費を防ぐために安静にする。
日中ケトン体が陽性となる第1期妊娠悪阻の段階では、ケトン体が陰性となるまで絶食し、点滴を行う。妊娠悪阻の発症時期は胎児奇形の臨界期に一致するため、薬物使用は極力避ける。漢方薬が用いられることもある。
脳症状や神経症状が現れる第3期となった場合は人工妊娠中絶術をし、妊娠を中断させる。
メディカルジャパン東洋医学的アプローチ
単刺術や短時間の置鍼など、刺激は穏やかなものにします。
【処方例】 巨闕(こけつ)、中脘、内関、郄門(げきもん)、三陰交